2013年10月5日土曜日

東南アジア諸国の幸運:日中双方を競い合わせる選択肢を提供した尖閣問題

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●4日、香港中評社によると、中国の習近平国家主席はインドネシア・マレーシアを公式訪問した。日中両国がAPECでの日中首脳会談はないと表明する中、安倍晋三首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国すべてを訪れる計画を着々と進めている。写真はインドネシアの首都ジャカルタ。


レコードチャイナ 配信日時:2013年10月5日 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77563&type=0

日中双方が狙う中、板挟みの東南アジア諸国は「どちらか一方の肩は持たない」―香港メディア

 2013年10月4日、香港中評社によると、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2日、公式訪問のため、インドネシアの首都ジャカルタに到着し、3日には次の訪問国であるマレーシアに向かい、その後、インドネシア・バリ島で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する予定である。
 中国と日本はすでに、APECでの日中首脳会談の計画はないことを表明している。
 そんな中、日本の安倍晋三首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国すべてを訪れる計画を着々と進めており、昨年12月の就任以来、加盟国のうち、すでに7カ国を訪問している。
 残り3カ国については、9日からのASEAN関連首脳会議でブルネイを訪問し、さらに今後1、2カ月のうちにカンボジアとラオス両国を訪問する方針だ。

 中国国際問題研究所の賈秀東(ジア・シウドン)氏によると、
 日本が東南アジアとの関係を重視するのは中国との競争を視野に入れており、同地域との協力を強化することで、アジアの成長力を取り込みたいと望んでいるからである。
 日本貿易振興機構(JETRO)の統計によると、2013年上半期、日本企業の対外直接投資額は、ASEAN向けが前年同期比55.4%増の102億ドル(約9800億円)で過去最高を記録し、対中国向けの2倍超に膨らんだ。

 一方、今回の習国家主席のインドネシア・マレーシアへの公式訪問にも、大規模な貿易関係者の代表団が同行していた。
 賈氏は
 「投資に関して、日本企業は経験も豊富で、実力もある。
 これに対し、中国はこれまで貿易やインフラに重きを置いていた。
 対外投資に力を入れ始めたのはここ数年の話であり、そのため、中国が投資面で日本に及ばないのは不思議なことではない」
と説明した上で、
 「しかし、安倍首相の望みは一方的である。
 ASEANは中日両国との関係強化を望んでいる。
 どちらか一方の肩を持つことで、もう一方との関係がこじれるような事態は避けるはずだ」
と指摘した。


 中国の爆発的台頭によって周辺諸国は恐怖の中で過ごしていた。
 いつか飲み込まれしまうのではないかと不安にである。
 日本もナンバーツーとは、経済に限った分野であり、軍事力パワーでは中国の前にはひれ伏すしかないかなと諦めていた。
 中国が日本から経済ナンバーツーの地位を奪ったとき、その恐怖は現実のものとなったと感じた。
 よって周辺諸国においてはいかに中国と折りあいをつけることが政治の基本になった。
 まさにそのときは、中国は輝ける星であり、未来は揚々としていた。
 アジアの歴史はこの中国のために作られていたのではないかと思うほどである。
 周辺国はビクビクして、中国の出方に一喜一憂していた。
 中国の顔色を伺いながら過ごすことになっていた。

 だが、しかし中国はとんでもないミスを犯した。
 尖閣問題である。
 これをうまく穏やかに切り抜ければ中国の覇権は決まっていたはずだ。
 しかし、驕れるものは慢心してしまった。
 いま、脅かせば日本は尖閣諸島をお盆にのせて差し出すだろうとふんだのだ。
 そこで、官制デモを中国全土で企画して、日本に恫喝をかけてきた。
 ところが、
 これが思ってもみない致命的な失敗となった。
 日本は「眠れる小竜」であった。
 尖閣における中国の致命的な失敗とは、この
「小竜を目覚めさせてしまった」
ことである。
 軍事パワーを封印しておくのが、アジアの日本に対する暗黙の約束事である。
 それをアジアの盟主たる中国が率先して破ってしまったのである。
 日本は軍事に関して、中国がとても太刀打ちできないキャリアがある。
 それを開放したらどうなる。
 放たれた小さな竜である。
 中国の行く手には常にコンパクではあるが鋭いキバを研ぐこの小竜が見え隠れすることになる。
 これを押しつぶさないかぎり、中国によるアジアの覇権はない。
 これにより「中国の夢」、「中華の覇権」構想はもろくも崩れてしまった。
 この小竜が蘇ったいま、もはや中国の希望はついえ去ったとみていい。
 日本はこれまでの「お詫びと反省」の姿勢から一転して「中国と対峙」を明瞭に打ち出している。
 残念ながら、いまの中国には日本にまともにぶつかれるだけの器量はない。
 中国の軍事増強に並行して、それを睨みながらこの竜は少しづつ周辺環境を作り直している。
 中国の軍備は見た目は巨大だがその分ハリボテに近い。
 だが、日本のそれはにはキャリアに培われた機能がぎゅうぎゅうに満載されている。
 軍事経験の豊富さでは、中国にはとても勝ち目はない。
 口先で言っていることは大きいが、中国の心の奥にある恐怖は「日本」である。
 中国はやってはいけないことをやってしまった。
 第二次世界大戦が封印した日本を、中国が蘇らせてしまったのだ。
 中国のこの罪は大きい。

 と言っても周辺国にとっては「こんなにめでたい事」はない。
 中国に日本が対峙してくれれば、中国の顔色を伺う必要はなくなる。
 対応さえ間違わなければ、両者を競い合わせて両方からの利が得られる。
 中国はこれまでの傲慢一途な姿勢をあらため、信じられないほどに腰を低くして、トップがせっせと周辺国に出むいていっては融和に専心している。
 日本は投資先をお詫びの中国一辺倒から、アジアの発展を目指して、広く周辺国に向けている。
 もともと経済のナンバーツーであり、トランジスタセールスマンと卑下された経験をもつ国である。
 セールス行脚、根回しがやたらと得意な国である。
 本来なら今頃、中国が肩で風きって歩いているところを、日本と中国が勢力を争そってその肩を丸めて揉み手で回っている。
 日本はあっという間にASEAN10カ国の訪問を計画し、すでに7カ国を、残り3カ国の訪問も年内には完了する。
 やたらとフットワークがいい。
 日本が出ていき、道筋をつければ、こぞって先進国はそれに続くことになる。
 加えて鼻高々暴慢の中国が菓子折りをもってやってくる。
 ちょっと耳をふさいで、しち面倒臭い面白くもない演説を聴いて、パラパラと拍手でもしてやれば、大枚なお金を運んでくれる。
 となれば、周辺国にとっては
 「笑いが止まらない」だろう。
 中国のつまらぬミスが至福を呼び込んでくれた、のであるから。
 よって下手に日本と中国が仲直りされてしまったら、これは一大事になる。
 できるかぎり、角付きあわせて、波風が立ってくれるのがなにより肝要
 日中の先鋭的対立がアジアを活性化させる、
それが現在のアジアでみられている動きである。
 もしアジアが平和で安穏になったときは、アジアの停滞が起こっているということでもある。

 そんななかで唯一の周辺失敗国が韓国である。
 韓国はこの両者の対峙により、もっと多くの漁夫の利が得られたはずである。
 それをミスミス逃している。
 周辺国がバランスよく立ちまわっているのに、韓国だけがドロ沼に足を引っ張られている。
 空気を読めない外交ベタが、結果としてこの非常時に増幅して現れてきたような感じがする。
 過去最高になるかもしれなかった大魚を釣りそこなったといえる。


レコードチャイナ 配信日時:2013年10月5日 11時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77562&type=0

米国は内政問題で東南アジア諸国に手が回らず、中国が得をする
=習中国主席は各国歴訪―独メディア

 2013年10月3日、ドイツの中国語ラジオ放送・ドイツの声(電子版)によると、米国は先般、財政問題での与野党の対立から予算が成立せず、政府機関の一部が閉鎖され、軍事や外交機関に影響が出ているだけでなく、重大な経済損失も懸念されている。
 また、オバマ米大統領と対立する野党・共和党幹部らとの会談は決裂に終わり、内政問題を優先させるため、オバマ大統領は、7日からインドネシア・バリ島で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と、9日からのブルネイでの東アジアサミット(EAS)などへの出席を取りやめると発表した。
 外交の重心をアジア太平洋地域へと移す「リバランス(再均衡)」戦略を推し進める米国が内政の危機に陥る中、一番得をするのは中国である。

 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がアジア諸国を次々と訪問し、勢力範囲の拡大を狙う中、オバマ大統領は後れを取るまいと、5日から12日までの日程で東南アジアを訪問する予定だったが、政府機関の閉鎖などを受け、全ての訪問を取りやめることとなった。
 アジア太平洋地域における覇権を確立しようとしていた米国にとって、訪問中止は大きな痛手であり、これまでの取り組みも無駄になりかねないと一部メディアは見ている。

 アジア太平洋地域での活発な外交戦略によって、中国をけん制してきた米国だが、中東情勢の緊迫化や予算攻防に追われ、外交政策にまで手が回らない状況だ。
 これに対し、中国の動きを見ると、習国家主席は東南アジアを歴訪しており、初のインドネシア訪問では、議会で演説も行い、同地域への影響力強化に力を入れていることがわかる。

 オバマ大統領の元中国問題上級顧問であるジェフリー・ベーダ―氏は、オバマ大統領が東南アジアの訪問を中止したことは同地域に対し、極めてネガティブなメッセージを伝えていると指摘した。
 すなわち、
 「米国は東南アジアからは遥か遠く。そして、米政府は今、正常に機能していない」。

 オバマがアジアを回っても、周辺国には一銭の得にもならない。
 それより習近平がちょくちょく出かけてくれてお金をばらまいてくれた方がどれほどよいかわからない。
 オバマなどいらない、というのがアジアの本音。
 せいぜいリップサービスで中国を抑えてくれれば十分、それ以上はいらない。
 そして、中国が商人もどきで、大いなるセールスマンをやってくれるのがベター。
 さらに言えば、中国がそいう態度をとるように
 日本が中国と面と向かって対立してくれる
のがなによりのアジアの発展につくす
ことになる。
 アジアにとって尖閣問題はまさにお金を生むタマゴ
なのである。 


レコードチャイナ 配信日時:2013年10月6日 8時49分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77522&type=0

中国、ASEANに“魅力攻勢”をかける―香港英字紙


●3日、参考消息網は記事「中国、ASEANに“魅力攻勢”をかける」を掲載した。習近平主席初の東南アジア訪問について取り上げている。写真は南寧市、東南アジア博覧会。

 香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト電子版は2日、習近平(シー・ジンピン)国家主席の東南アジア諸国連合(ASEAN)外交について取り上げた。
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席前にインドネシアとマレーシアを訪ねるが、国家主席就任以来初となる東南アジア訪問となった。

 リバランス戦略を進める米政府がアジア太平洋地域に重心を移す中、中国政府も東南アジア諸国との関係を深めようとしている。
 軍事的プレゼンス以外でも米国は経済関係の強化を進めており、環太平洋連携協定(TPP)を推進している。
 加盟交渉にはアジア太平洋地域の諸国が招かれているが、中国は招かれていない。

 中国人民大学の金燦栄(ジン・ツァンロン)教授は、首脳外訪を契機に中国がASEAN及びオーストラリア、インド、日本、ニュージーランド、韓国などを含む独自の経済的枠組みを推進すると分析している。
 シンガポールのジョージ・ヨー元外相は習主席の外訪は
 「ASEANとの長期的互恵関係発展を願う中国の強い意欲を示したもの」
 「ASEANは中国とASEANの自由貿易協定(FTA)拡大の提案を歓迎する」
と評している。


 中国としてももはや不遜傲慢な態度でアジアを行くわけにはいかなくなった。
 常に日本を意識して「“魅力攻勢”をかける」ことになる。
 してやったりが周辺国であろう。
 喜びイッパイ、お金イッパイである。
 そしてこれまで疎まれていた発展への展望が開けてきた。
 「尖閣問題万々歳!」のアジア諸国である。
 「もっとやれ、もっとやれ!」
 「ふれーフレ中国!」
 「フレーふれニッポン!」


レコードチャイナ 配信日時:2013年10月7日 9時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77573&type=0

中国外交:お客様第一、友人はその次
=「隣国の感情を顧みない大国強盛外交に切り替えた」―仏紙

 2013年10月4日、RFI中国語版は記事「中国外交:お客様第一、友人はその次」を掲載した。

 「中国外交はお客様第一、友人はその次」。
 これはフランス紙リベラシオンに掲載されたコラムのタイトルだ。
 コラムは中国外交は実務重視であり、理念は重視されないと指摘している。
 主に貿易など経済面での関係を重視し、戦略的同盟で対外的影響力を増そうとはしない。

 香港浸会大学国際関係研究所の高敬文(ガオ・ジンウェン)教授は、
 国際舞台における中国のイメージは確かに悪いが、中国の政治指導者の大半は気にしていない
とコメントした。
 中国経済の繁栄により、各国は遅かれ早かれ中国を見直すことになると考えているためだ
 中国が求めているのは他国の好意ではなく尊重なのだ。

 北京大学国際関係学院の朱峰(ジュー・フォン)教授は
 中国が盟友をほとんど持たないこと
に懸念を示している。
 パキスタンと北朝鮮は友好国であり、カンボジアとラオスは中国の影響下にあるといってもいいが、
 その他ほとんどの周辺国は中国に警戒心を抱いている。

 高教授は中国外交の転換点は2008年の北京五輪だったと主張した。
 中国は従来の「近隣友好外交」を捨て、
 隣国の感情を顧みない「大国強盛外交」に切り替えた。


 「中国は従来の近隣友好外交を捨て、隣国の感情を顧みない大国強盛外交に切り替えた
のだが。
 多くの隣国はこの「大国強盛外交」におののいた。
 それに気を良くした中国は慢心して一気呵成に次のステップへ移った。
 尖閣である。
 相手が悪かった。
 「お詫びと反省の国」のイメージで、易々と抜けると思った。
 だが、そこで強壁にガチンとぶち当たった。
 まるでビクともしない。
 逆に叩けば叩くほど、どんどん壁厚が増してくる。
 さあて、どうする。
 しかたがない、そこで菓子折りをもって、近隣諸国を行脚し、中国支持を訴えることになる。
 それが今の中国の姿。





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