2013年8月19日月曜日

支離滅裂な次期戦闘機事業では領空を守れない:F35をアメリカは韓国に許可しない

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● F35


朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/19 10:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/19/2013081900886.html

【社説】支離滅裂な次期戦闘機事業では領空を守れない

 韓国防衛事業庁は18日、韓国史上最大の兵器導入事業である次期戦闘機(FX)事業の価格入札(交渉)で、これまで選定が有力視されていた欧州航空防衛宇宙会社(EADS)のユーロファイターが、入札書類の不備で事実上脱落したことを明らかにした。
 防衛事業庁はEADSにユーロファイターの単座型(操縦席が一つ)45機、複座型(操縦席が二つ)15機を要求したが、EADSは最終入札の際、書類に複座型を6機しか記載していなかったという。
 複座型は単座型に比べて高価なことから、防衛事業庁はEADSが価格条件を意図的に変更したと判断したのだ。

 この結果、次期戦闘機候補は米国ボーイング社のF15SEに絞られることになった。
 当初から有力視されていた米国ロッキード・マーチン社のステルス戦闘機・F35Aは、韓国側が提示していた
 「60機に8兆3000億ウォン(現在のレートで約7300億円、以下同じ)
という価格条件を上回ったため、最初に脱落していた。

 巨額の政府予算が投入される次期戦闘機事業では、かつてF16とF18のどちらを導入するかで激しい駆け引きが続き、結果的に感情的なしこりが残ってしまったが、今回もそうなる可能性が出てきた。
 しかも今回は韓国がなぜ最初から8兆3000億ウォンという額を決めて次期戦闘機の導入を目指したのか、その根本理由からして忘れ去られそうな状況になっている。

 次期戦闘機の導入は、核兵器という非対称兵器の導入を目指す北朝鮮に対抗するため、韓国空軍が制空権を確保することが最も大きな理由だったはずだ。
 現代の戦争で戦闘機がこの使命を果たすには、
 まずは敵のレーダーに捕捉されないステルス性能が絶対に必要だ。
 ステルス戦闘機は北朝鮮の防空網を無力化するため、北朝鮮政権に対して大きな圧力となることが期待されている。

 次期戦闘機導入の理由は北朝鮮の脅威だけではない。
 4-5年後には日本がF35を配備している可能性が高く、また中国とロシアによるステルス機の開発も一層進むだろう。
 このような状況の中、韓国の次期戦闘機事業でステルス性能を持つ機種が候補から外れた。
 現実的な脅威と潜在的な脅威の双方に対応するという次期戦闘機事業の根本目的が、結局は見失われてしまう形となったのだ。

 現時点で唯一の候補となったF15SEは、従来のF15の機体の一部に手を加え、新たに塗装を施してステルス性能を持たせる予定とされているが、これでは本来必要とされているステルス機能は非常に限定的なものとならざるを得ない。
 しかもこの機体は現時点ではまだ実際に存在もしていない。
 さらには最先端のステルス時代、1970年代に開発された機体を使用することに国民が納得できるかどうかも疑問だ。

 韓国の今の財政状況で、次期戦闘機を導入するための予算を上積みするのも簡単なことではない。
 F35は米国との政府間契約となる対外有償軍事援助(FMS)方式が適用されるため、米国メーカーが韓国の予算に合わせて価格を調整することもできない。 
 一方のユーロファイターとF15SEはステルス機能を確実に持つとは断言しがたい。
 つまり現時点ではこれといった打開策が見当たらないのが実情だ。
 このままでは国民の税金を大量に投入しても、空軍力を当初の目標通り強化できなくなる恐れさえ出てきた。
 今の状況を打開するため韓国政府は、本来の事業目的をあらためて検討し直すことも含め、果敢な決断を下す必要があるのではないか。
 今のように支離滅裂な状況だけは何としても避けなければならない。


 この文章、ひじょうにわかりにくい。
 らしく書かれてはいるが、何を言っているのか飲み込めない。
 どうもこういうことのようである。
 「韓国がなぜ最初から8兆3000億ウォンという額を決めて次期戦闘機の導入を目指したのかその根本理由」とは?
 現代戦争の戦闘機は「敵のレーダーに捕捉されないステルス性能が絶対に必要だ」。
 このステルス性能をもった戦闘機を取得するのに手配されたのが「8兆3000億ウォン」という予算である。
 ところが、機種選択にあたっては「ステルス性能」という最も重要となるべき根本理由は無視され、
 「8兆3000億ウォン」という予算だけが選択基準になってしまった、
ということである。
 つまり
①.「ステルス戦闘機」が欲しいのか、
②.それとも「60機8兆3000億ウォン戦闘機」が欲しいのか、
という判断になり、
 その結果は「機数と金額」の項目にハカリは傾き、
 根本理由であるステルス性能要求はどこかに吹っ飛んでしまうことになり、
 「ユーロファイターとF15SEはステルス機能を確実に持つとは断言しがたい
と思われる機種から「F15SE」に絞りこまれてしまった、ということになる。
 そこで、
 「それでいいのか!」
と記者は嘆くわけである。


朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/19 10:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/19/2013081900896.html

韓国軍:次期戦闘機の最有力候補に米F15SE
ユーロファイターが入札書類の不備で脱落
防衛事業庁「複座式を15機約束も、EADSは最終入札で6機に減らしていた」

 韓国空軍の次期戦闘機(FX)に米国ボーイング社のF15SEが選定される可能性が高まった。

 F15SEと欧州航空防衛宇宙会社(EADS)のユーロファイター・タイフーンは、防衛事業庁が定めた入札基準予算の8兆3000億ウォン(現在のレートで約7300億円)以内の価格を提示したが、EADS社は価格を引き下げるために事業合意条件を意図的に変更。
 これが原因となってユーロファイターは候補から外れてしまった。

 防衛事業庁は18日
 「総事業費の限度内の価格を記載した2社のうち、1社は昨年7月から今年6月まで進められてきた交渉で互いに合意した条件を、(最終入札日の16日になって)勝手に変更し、これに基づいて価格を提示していたことが分かった」
と説明した。

 要するにこの1社がEADS社で、防衛事業庁が言及した合意事項とは複座式(操縦席が二つ)戦闘機の数のことだった。
 ユーロファイターには2人のパイロットが搭乗できる複座式と、1人が搭乗する単座式があるが、複座式は単座式よりも高価だ。
 防衛事業庁はパイロット養成のため、導入予定の60機のうち15機を複座式にするよう要求し、EADS社もこれに合意していたが、EADS社は最終入札の際にこれを6機へと勝手に減らしていたのだ。
 EADS社はさらに、新たな兵器や装備の搭載に必要な開発費についても、機体を引き渡した後に協議を行うよう条件を変更していたという。

 防衛事業庁の関係者は
 「EADS社は従来の合意条件が記載された文書に署名までしていた」
 「合意された条件を勝手に変更し、総事業費を引き下げるのは、受験生が出題された問題を勝手に変えて、その答えを書くのと同じようなものだ」
などと不満を吐露した。
 これに対してEADS社は
 「複座式戦闘機の数について、EADS社は覚書や契約書などを取り交わしていない」
と反論しているため、今後もこの点が火種として残りそうだ。

 防衛事業庁による今回の決定で、総事業費の条件を満たしたのは最終的にF15SEだけとなった。
 従来の候補の中で唯一のステルス機であると同時に、最有力候補でもあったロッキード・マーチン社のF35Aは、16日に行われた最終入札でも総事業費を上回る価格を提示していた。

 防衛事業庁は総事業費とは関係なく、三つの機種全てについて「価格」「性能」「韓国軍による運用の適性」「経済的・技術的側面」などから検討を行い、その結果を、機種の最終決定権限を持つ防衛事業推進委員会(委員長:金寛鎮〈キム・グァンジン〉国防部〈省に相当〉長官)に報告する。
 だが、予定された事業費を上回る機種は「不適格判定」を受けるため、次期戦闘機として選ばれることはない。
 一部では来月に予定されている防衛事業推進委員会で、FX事業の根本的な再検討が指示される可能性もささやかれている。
 F15SEは今のところ試験機さえなく、空軍が要求するステルス性能も不十分との指摘がでているからだ。
 機種選定評価において他の2機種よりも評価結果が低い場合、次期戦闘機として不適格との意見が出る可能性もある。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/21 09:56
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/21/2013082100857.html

韓国の次期戦闘機事業、進退両難に

 韓国軍創設以来最大となる8兆3000億ウォン(約7230億円)規模の兵器導入事業であるF-X(次期戦闘機)事業が進退両難の事態に陥っている。
 レーダーにほとんど感知されないステルス機能など性能基準を満たそうとすると資金が不足し、予算に合わせようとすると、空軍が希望する性能基準を満たさないからだ。
 軍周辺からは事態の長期化を憂慮する声が聞かれる。

■予算算定から摩擦

 問題点は今月16日に行われた最終入札で露呈した。
 候補となった3機種のうち、唯一の第5世代ステルス戦闘機である米ロッキード・マーチンの「F35A」、唯一の実戦配備戦闘機である欧州EADS(欧州航空防衛宇宙会社)の「タイフーン」は、価格が事業予算を超過し、事実上脱落した。
 まだ開発段階にも入っていない米ボーイングの「F15SE」だけが予算の範囲内で価格提示を行ったため、来月中旬ごろに機種選定に向けて開かれる防衛事業推進委員会で事実上単独候補となることが決まった。

 専門家は2010年に8兆3000億ウォンという予算が決まった段階で、既に難航が予想されていたと指摘する。
 国防部傘下機関は当時、事業への参入が予想されたロッキード・マーチン、ボーイング、EADSから高性能戦闘機60機を導入するのに必要な予算の推定値を受け取った。
 同機関は予想価格の平均値と交渉を通じた値引き分を考慮し、予算を8兆3000億ウォンと算定した。
 しかし、国会などではこの金額では無理だという見通しが相次いで示された。
 国会国防委員会専門委員室は2011年、高性能戦闘機60機を導入するためには、約1兆8000億ウォン(約1570億円)予算が不足しているとして、事業に障害が生じることを懸念した。

 昨年1月、F-X事業に本格着手するのに先立ち、防衛事業庁と空軍の間では、要求性能をめぐる対立が起きた。
 ステルス機を希望していた空軍は、要求性能に強力なステルス機能を含めたが、防衛事業庁は要求性能を大幅に引き下げた。
 空軍の要求に従えば、合格ラインに入るのはF35だけで、F15SEやタイフーンは脱落し、競合による機種選定ができなくなるというのが理由だった。
 F-X事業はその後も曲折を経て、2回延期された。

■第1次入札後の停滞

 先月末の第1次価格入札以降、今回の事業が本格的な難航局面に入った。
 6月から7月にかけ、55回にわたり行われた価格入札の結果、どの候補企業も予算範囲内で価格を提示できなかった。
 防衛事業庁は予算の20%の範囲内で国会の承認なく予算増額が可能だという規定に期待し、企画財政部(省に相当)に増額を打診したが、不可能だとの回答を得た。

 防衛事業庁は構想を原点に戻すことも検討したが、空軍や数年かけて準備してきた参入業者が反発し、結局は今月12-16日に最終価格入札を実施した。
 その結果、F15SEだけが予算の範囲内に入り、事実上の単独候補となった。

 防衛事業庁は予算増額は不可能であり、予算範囲内でなければ契約はできないとの立場で、既にF-X事業本来の趣旨や空軍の希望事項は無視されている。
 このため、防衛事業庁と空軍の立場が逆転しているのではないかとの指摘もある。
 防衛事業庁が発表したF-X事業の評価基準は、
①.費用が30%、
②.性能が33.61%、
③.運用適合性が17.98%、
④.経済的・技術的便益が18.41%
となっている。
 同庁は四つの要素を総合的に評価し、機種を選定するとしているが、実際には価格だけを決定的要素として扱っているとして、一部企業は反発している。

■政府の戦略不在

 現在軍の選択肢は二つだ。
 F15SEを選定するか、さもなくば全面的な事業見直しを行うかだ。
 軍周辺ではどんな決定を下しても、議論を呼ぶのは避けられないとの見方が高まっている。
 また、問題がどこで行き詰まったのかをめぐる責任論も浮上し始めた。

 原点に戻って事業見直しを行えば、事業推進が1-2年遅れ、戦力の空白が生じるのは避けられない上、ボーイングが反発するのは明らかだ。
 「F35を推すための決定ではないか」との陰謀論が浮上することを懸念する向きもある。

 一方、F15SEが採用された場合、性能をめぐる論争が避けられない。
 F15SEはステルス塗料と内部武器搭載室(CWB)などの採用で、部分的なステルス性能を備えたとしているが、本格的なステルス性能はF35よりもかなり劣るとされる。
 空軍幹部は
 「政府レベルでの戦略不在がこうした状況を招いた」
と批判した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/23 09:33
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/23/2013082300734.html

F35を導入する日本、価格5割増しでも国産部品を使用
三菱電機などが納品…1機150億円に上昇する見通し

 日本政府は、次世代戦闘機として配備するF35について、価格が5割高くなるのを承知で、日本企業が生産した部品を使用することを決めた。
 朝日新聞が22日付で報じた。戦闘機に関する最新技術の習得や防衛産業の育成を目的とした措置だ。

 日本は、米国ロッキード・マーチン社から購入するF35に使用される部品のうち、エンジンのファン、タービン、レーダーの信号受信機など計24の部品について、三菱電機など日本企業が納入することとした。
 この場合、価格は以前よりはるかに高くなる。

 昨年、日本政府がF35戦闘機4機の完成機輸入契約を結んだとき、価格は1機102億円だった。
 今年注文する2機から日本製の部品を使用する場合、価格は1機150億円に跳ね上がる。防衛省は、日本国内にF35の最終組み立て工場を作るため、830億円の予算を組む予定だ。

 日本は2011年に、F35戦闘機42機の購入契約をロッキード・マーチン社と結んだ。
 ただし、日本企業が生産する部品を最大で40%まで使用するという条件付きだった。
 日本は、防衛産業を輸出産業として育成するため、今年3月に
 「日本企業が生産するF35の部品は武器輸出禁止原則から除外する」
という趣旨の談話を発表した。
 また日本は、独自のステルス戦闘機開発も目標にしている。




●F35は米国の空軍、海軍、海兵隊が使用する作戦機を、ひとつの原型機から発展させる­「統合攻撃戦闘機(ジョイント・ストライク・ファイター=JSF)」計画に基づいて開­発中の最新鋭機。米国に加え、英国、イタリア、オランダ、カナダ、オーストラリア、ノ­ルウェー、トルコなども参加した国際共同プロジェクトの形式で開発は進められている。
 プロジェクト参加国は開発資金を拠出する一方、自国でもF35を主力戦闘機として採用­するため、製造規模は合計で3000機以上に上る見通しだ。
 航空自衛隊はFX(次期主力戦闘機)として、3種類あるF35のうちの空軍型F35A­を採用する。全長15.7メートル、全幅10.7メートル、エンジン1基を装備し、パ­イロット1人が搭乗する単発単座機で、最大速力はマッハ1.6とされる。F35は空対­空戦闘はもちろん、対地・対艦攻撃、航空偵察、電子戦など多様なミッションに対応可能­なマルチロール(多用途)戦闘機として開発されている。
 搭載できる兵器は開発が進むにつれて増え、いずれ要撃任務(領空侵入機などを迎撃する­こと)だけでなく、敵上陸部隊の制圧や艦艇の攻撃などにも活用できる能力を持つ見通し­だ。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/29 17:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/29/2013082902727.html

韓国次期戦闘機 防衛事業庁「F15SEが単独候補」 

【ソウル聯合ニュース】韓国空軍の次期戦闘機(FX)導入事業をめぐり、防衛事業庁が29日、米ボーイングのF15SEを単独候補として来月中旬の防衛事業推進委員会に上程すると明らかにした。

 先端戦闘機60機を購入する次期戦闘機事業には、米ロッキード・マーチンのF35A、欧州航空防衛宇宙会社(EADS)のユーロファイター、F15SEの3機種が参加したが、16日の最終入札でF35Aとユーロファイターは総事業費(8兆3000億ウォン=約7300億円)を超える価格を提示し、事実上脱落した。

 防衛事業庁は「F15SEは1970年代に戦力化が始まった旧型戦闘機の改良型で、次期戦闘機としてはふさわしくない」との批判に対し、「軍の要求する性能を備えており、戦闘用として合格判定を受けた」と回答し、問題はないとの考えを示した。

 F15SEは空軍が希望するステルス性能などを備えていないとの指摘について、防衛事業庁の高官は記者懇談会で「候補になった3機種は差はあれど、いずれもステルス性能を備えている。次期戦闘機はステルス機能だけが要求されるのではない」などと説明した。

 また、F15SEは総合評価の点数が最も低かったと指摘されると、「候補の機種は全て一定の点数を超えたため、点差には大きな意味がない」と反論した。

 軍関係者らの間では、防衛事業推進委の機種選定を前に防衛事業庁が懇談会を開き、「旧型戦闘機」と批判されるF15SEの擁護に乗り出したことは不適切だとの声も出ている。

聯合ニュース

 おそらく妥当な選択だと思える。
 というのは、仮に機数を減らして「F35」に決めたとしても、
 今の米韓情勢ではアメリカが最後の最後にいいがかりをつけて「ダメ」を出してくる可能性が高いからである。
 その程度の認識は韓国空軍はもっている。
 アメリカとしては「F35」を中国にスルーされるようなルートに載せたいとは思わない
だろう。
 そう考えるのが常識的な線とすると、
 最後にダメを出されるより先にランクを落として妥協し、非難の矛先を予め避けておくことが至当ということになる。



【「底知らず不況」へ向かう韓国】


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