2013年6月10日月曜日

韓国の主力産業、海外移転ラッシュ:奇形構造に続く不幸



朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/10 11:36
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/10/2013061001443.html

韓国の主力産業、海外移転ラッシュ

 現代自動車の韓国国内での生産比率が30%台まで低下するなど、韓国を代表する企業で、海外生産が国内生産を上回る逆転現象が加速している。

 韓国企業はこれまで、重要工場を国内に置き、世界市場開拓のため、組み立て工場を外国に設置する戦略を取ってきた。
 しかし、最近は重要工場まで海外に移転するようになり、韓国経済の低成長が定着するのではないかとの懸念を生んでいる。

 本紙が現代自の国内外での生産台数の推移を分析した結果、国内生産の割合は今年1-5月に38%まで低下した。
 前年同期(45%)に比べ7ポイントも低下したことになる。低下したのは割合だけでなく、国内での生産台数も6万台近く減少した。
 昼間連続2交代制の導入をめぐる労使対立で、3月から3カ月にわたり、週末に工場の操業ができなかったことによる影響が大きかった。
 同じ期間に現代自の海外工場では、生産台数が前年同期を23.5%上回った。

 現代・起亜自の合計で見ても、結果は同様だ。
 両社の国内と海外での生産割合は、昨年初めて49対51で海外が上回り、今年に入ると45対55まで差が広がった。

 サムスン電子は2011年9月、華城事業所(京畿道)で半導体第16生産ラインの完工式を行った。
 現在は第17生産ラインを建設中だ。
 しかし、それを除けば、最近韓国国内で大規模な起工式、完工式を行ったことはない。
 一方で、それぞれ投資規模が数兆ウォン(数千億円)に達する半導体工場(中国・西安)、非メモリー半導体工場(米国テキサス州オースティン)、携帯電話端末工場(ベトナム)の拡張などを発表した。
 LG電子は10年に非主力分野の太陽電池工場(慶尚北道亀尾市)の起工式を行った以外は、国内で大規模な工場新設を発表していない。

■サムスンのスマホ生産拠点はハノイ

 企業は海外工場への投資について「需要がある場所に工場がある」と説明する。
 需要地に近い現地工場で生産を行うのが効率的だからだ。
 しかし、専門家はもう一つの理由を指摘する。
 ある専門家は「地価や税金の高さ、企業に厳しい社会的なムードなど韓国の製造業の競争力自体に問題が生じ、そのシグナルが同時多発的に発せられている」と分析した。

 現代自は強硬な労組と生産性の低下による影響が大きい。
 起亜自は11年に年産50万台規模の光州工場を62万台体制に拡充することを決めたが、2年後になっても計画は「進行中」のままとなっている。
 労使対立に加え、組合内の対立も起きたためだ。
 同じ期間に現代自のトルコ・イズミール工場は生産規模を年10万台から20万台に拡充。
 韓国の工場とは異なり、一つの生産ラインで複数車種を生産できる「混流生産」を採用し、3交代勤務も開始した。

 携帯電話端末の生産拠点も急速に海外にシフトしている。
 07年にサムスン電子はベトナム・ハノイに携帯電話端末工場を建設すると発表した。
 当初は韓国の亀尾工場で高級機種を生産し、ベトナムでは低価格機種を生産する戦略だった。
 しかし、計画は変わった。
 07年に亀尾工場で生産した携帯電話端末は8100万台だったが、昨年は3800万台にまで減少した。
 サムスンの携帯電話端末生産台数に占める亀尾工場の割合は10%以下に低下した。
 一方、ハノイ工場では亀尾工場の3倍以上の1億2000万台を生産しており、その99%が高級スマートフォン(多機能携帯電話端末)だ。
 業界関係者は
 「サムスン電子の携帯電話端末の生産拠点は、もはや亀尾ではなくハノイだ」
と指摘した。

■韓国経済の低成長傾向に懸念

 重要な生産拠点の海外移転が進めば、大企業の成長がほかの産業に波及効果を及ぼしにくくなる。
 現代自の売上高(単独ベース)は、06年の27兆3354億ウォン(約2兆3800億円)から11年には42兆7740億ウォン(約3兆7300億円)へと2倍近く増えた。
 しかし、同じ期間に韓国国内での雇用は5万4973人から5万7303人へと2330人(4.2%)増えるにとどまった。
 一方、同期間に海外工場の従業員数は1万9781人から2万9125人へと9344人(47.2%)増えた。
 現代自は成長の果実を海外で得た格好だ。

 こうした傾向は国内外の直接投資にも表れる。
 昨年の韓国企業の海外への直接投資は236億3000万ドル(約2兆3100億円)だったのに対し、韓国への外国直接投資は50億ドル(約4890億円)にとどまった。
 韓国に流入する資金よりも海外に流出する資金が約5倍多い計算になる。

 産業研究院のイ・ハング上級研究委員は
 「韓国企業が国内で行う新規投資を減らし、主力事業まで海外にシフトしている。
 危機意識を持ち、産業競争力の確保を真剣に考えなければならない」
と述べた。


 韓国は企業を絞り込むことによって成長を促すという「奇形構造」を選択した。
 その結果、大いなる発展を遂げた。
 しかし、今その政策によって大企業となった主力会社が、韓国から逃げ出そうとしている。
 これによって、韓国国内が上向きに転じる可能性はさらに弱まったといえる。

 


【「底知らず不況」へ向かう韓国】



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