2013年6月12日水曜日

韓国経済に黄信号:0%台の成長と1%台のインフレ、いよいよ奈落のラインへ

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/12 08:23
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/12/2013061200549.html

【社説】1%台のインフレと0%台の成長、韓国経済に黄信号

 韓国国内の消費者物価上昇率が、昨年11月から今年5月まで7カ月連続で前年同月比わずか1%台のプラスにとどまっている。
 このままでは、1年に換算した物価上昇率は韓国銀行の目標値である2.5-3.5%を大きく下回る、1%台にとどまってしまいそうだ。
 消費者物価の上昇率が2%下に落ち込むのは、1999年以来14年ぶりとなる

 所得が増えず物価だけが上昇すれば、当然庶民の生活は一層苦しくなる。
 わずか2年前の2011年、労働者の1カ月の平均給与は284万4000ウォン(現在のレートで約24万1000円)で、前年に比べて1%増えたが、消費者物価は4%上昇し、実質的には賃金が目減りしてしまった。

 しかし国全体で見ると、物価上昇率が1%台というのは決して望ましい数値ではない。
 米国や欧州の中央銀行は、多くが物価上昇率の目標値を2%台に設定している。
 物価がある程度上昇すれば、消費や投資が正常に行われ、経済が順調に回るからだ。
 物価が毎年下落するデフレーションから抜け出せなかった日本も、今年に入って物価上昇率の目標値を2%に設定し、そのための景気刺激策として、日本銀行は市場に流通する通貨の量をこれまでの2倍に増やす大幅な金融緩和に取り組んでいる。

 物価上昇率1%台を危険信号と見なすべき理由は、
 同期間の成長率が8四半期連続で前期比1%以下にとどまっているからだ。
 消費と投資の双方が振るわず、物価まで上昇しないとなれば、これはまさに
 韓国全体が奈落の底に落ち込む
ような雰囲気となる。
 日本は1992年に物価上昇率が2年連続で1%台を記録し、同時に成長率が0%台に落ち込んだが、結局はその後20年にわたり長期の不況が続いた。

 韓国政府はこれまで不動産対策や補正予算の編成、輸出と投資の促進策、ベンチャー企業の育成策などを相次いで発表し、今年の経済成長率の目標値を当初の2.3%から2.6-2.8%へと引き上げた。
 しかし、国民の多くは政府が打ち出した景気対策に半信半疑で、将来への不安から簡単には財布のひもを緩めようとしないのが実情だ。

 日本政府はかつて「低成長」「低物価」の同時進行が長期の不況につながることに気付かず、金利の引き下げや財政支出の拡大など、伝統的な景気浮揚策を毎年のように行ってきたが、いずれも失敗に終わった。
 正規雇用労働者を過剰に保護する雇用習慣にメスを入れず、第2次世界大戦直後から導入されたさまざまな規制も維持したため、投資と消費の双方が壁にぶち当たった。
 韓国政府はこのような日本の失敗を教訓とし、今こそ伝統的な景気刺激策にとらわれない、果敢な発想を打ち出さなければならない。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/11 11:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/11/2013061101190.html

韓国にデフレ到来の危機、物価上昇1%台続く

 韓国経済は今、景気低迷の中で物価上昇が減速し、デフレ到来の危機を迎えている。

 物価上昇率が7カ月連続で前年同月比1%台にとどまったのは通貨危機以来初めてで、経済協力開発機構(OECD)平均より低い状況が2年続いている。

 韓国経済の現状は、日本が長期不況に陥った1990年代前半の状況に似ている。 
 日本は不動産バブル崩壊の影響で、物価上昇率が92年から2年連続で1%台にとどまり、経済成長率は0%台に転落した。

 韓国統計庁によると、韓国の消費者物価上昇率は、昨年11月から7カ月連続で1%台で推移している。
 韓国政府関係者は「今年通年でも1%台となる可能性が高い」と述べた。
 経済成長率も8四半期連続で前期比0%台の低成長となっている。

 先進国と比較すると、韓国の低物価の深刻さはさらに明らかだ。
 韓国の昨年の物価上昇率(2.2%)は、OECD加盟国の平均(2.3%)を下回り、今年も同じ傾向が続いている。
 物価上昇率が2年連続でOECD平均を下回れば、通貨危機以降初めてとなる。
 OECD加盟国は人口構造が高齢化し、経済成長率が低い「低成長・低物価国家」に属する欧州、北米の先進国が大半だ。
 それよりも韓国の物価上昇率が低いのは、それだけ「経済活力が低下」していることを示している。

■賃金、不動産価格、既にデフレ状態

 物価上昇率が低下したといっても、まだマイナスに転落してはいない。
 しかし、専門家は物価上昇率が低い状況を放置すれば、韓国経済がデフレと似た無気力症に陥りかねないと懸念する。

 世界的な金融危機以降、実質賃金と住宅価格は事実上横ばいで推移している。
 韓国の勤労者の実質賃金上昇率は、2008年がマイナス8.9%、09年がマイナス0.2%、10年がプラス3.8%、11年がマイナス3.0%、12年がプラス3.1%で、最近5年は全体として低下傾向だ。
 住宅価格も同様で、07年には4%上昇したが、10年以降は値下がりが続いている。
 実質賃金と住宅価格を見れば、韓国は「擬似デフレ」の状態といえる。

■デフレが景気低迷に拍車

 これまでは「物価上昇が止まった」という言葉が、庶民の生活費負担が軽減するという意味で良いニュースだった。
 しかし、最近の物価上昇率低下は、韓国経済の成長エンジンが衰え、勤労者の賃金、中産階級が購入した住宅の価格が上昇しないという点で問題がある。

 デフレは金融、実体経済という二つのルートで景気低迷を加速させる。
 まず、金融面では物価下落で実質金利が上昇すれば、債務返済負担が増大する。
 そのため、損害が出る前に保有資産を売り急ぐ人が増え、資産価格がさらに低下する悪循環に陥る。
 実体経済でもデフレで商品価格が下落すれば、家計の消費と企業の投資が減り、景気がさらに悪化する。

 漢陽大のハ・ジュンギョン教授(経済学)は
 「金利が上昇し、利子生活者が恩恵を受けるインフレとは異なり、デフレは全ての経済主体が被害者になる」
と指摘した。

■物価政策が後手

 経済専門家の間では、デフレ懸念が広まっているが、政府の対策はまだ後手に回っている。
 入学シーズンになれば、制服価格や学習塾費用を取り締まり、夏になれば青果価格を監視するといった具合だ。
 政府関係者は
 「物価は何が何でも抑制すべきだという固定観念のせいで、政府は物価が少し上がったとしても、経済の活力が回復すると言いにくい面がある」
と漏らした。

 ある経済閣僚経験者は
 「庶民の負担を解決するためには、所得を増やし、実生活に密接な関係がある品目にだけミクロ的に対処する物価政策の枠組みを変えなければならない」
と強調した。




【「底知らず不況」へ向かう韓国】



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