2013年5月12日日曜日

アベノミクス、近隣諸国を襲う :日本は新たな「キャリートレード」を開始した

_

●韓国中銀


ウォールストリートジャーナル     2013年 5月 10日 09:38 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323605404578473690611037074.html?mod=WSJJP_hp_bottom_3_3_bucket_3_right

【社説】アベノミクス、近隣諸国を襲う 

 韓国銀行(中央銀行)が9日、政策金利を0.25%引き下げて2.5%にすると発表した。
 大半のオブザーバーが金利はさらに2、3カ月は動かさないと予想していた時に、である。
 日本のアベノミクスのもう一つの波及効果として記録される。

 しかし韓国銀行は利下げ決定の説明で、そのようには言わなかった。
 その代わり韓国の伝統的な輸出市場である米国、欧州の景気が低迷しているなどの要因を挙げるにとどめた。
 韓国通貨ウォンの為替レートと円をみれば、日本が現在推進している円安攻勢が韓国輸出品の市場シェアを奪ってしまうと標準的な懸念を表明していいところだ。

 しかし韓国には安倍晋三首相の通貨戦略を懸念する十分な理由がある。
 ただそれは、多くの人々が考えているような理由ではない。
 日本の輸出業者が世界の市場シェアを奪うために価格を引き下げている証拠はほとんどないからだ。
 危険は他のところにある。

 日本は新たな「キャリートレード」を開始した。
 そこでは世界の投資家が円を超低金利で借りて、それを他の通貨に交換し、もっと高いリターンを求めて投資する。
 日本は近年キャッシュ不足で苦しんできたのではなく、資本の生産的な利用の欠如に苦しんできた。
 経済改革が欠如したままだと、安倍氏の創出する新しい流動性の大半は海外に向かってしまう。

 韓国は明らかにその行き先の一つだ。
 日本からの資金流入は、韓国の当局者がウォン上昇に苦悩していることの説明の一端になる。
 ウォンは最近数カ月間、対ドルで約5%上昇した。
 政府が上昇を抑えるため介入を試みた兆候があるにもかかわらず、だ。

 これが韓国の中銀関係者たちを懸念させている。
 韓国銀行が先週発表したリポートは、円のキャリートレードが今や増加する気配だと警告した。
 こうした撹乱的な資金流入を阻止する唯一の希望は、こうしたキャリートレードをしている投資家が期待しているリターンを引き下げることであり、韓国は利下げによって投資家へのこのリターン低下を達成できるかもしれない。
 
 またタイは資金流入阻止のため資本規制を導入するかもしれない。
 また今週はオーストラリアの中央銀行が、同国通貨が上昇する中で、予想外の利下げを実施した。

 韓国のインフレは最近数カ月間、比較的沈静化しており、わずかばかりの為替安定を回復するため利下げする余地を残している。
 他の諸国の政府は、資金流入がインフレを惹起し、利下げがリスキーになるにつれて、もっと厳しい選択を迫られている。
 日本やその他先進諸国がマネーを無制限に印刷し続ける限り、こうしたジレンマはアジア全域で続くだろう。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/05/13 09:47
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/13/2013051300697.html

円キャリーでの株・債券取得 韓国市場で増加傾向

【ソウル聯合ニュース】
 円安が進むなか、日本の投資家が低金利の円を借りて高金利の外国通貨で運用する「円キャリー取引」を使い韓国の株式や債券の取得を本格化させていることが分かった。
 円キャリー資金の韓国流入はウォン高に拍車をかけ、円安に苦しむ韓国経済に一層負担を与える可能性がある。

 日本の財務省が13日までに明らかにしたデータによると、日本の投資家は2~3月に韓国市場で計282億円の株式や債券などを買い越した。

 金額はそれほど大きくはないが、今年に入り日本の投資家が海外の株式や債券を売り越すなか、唯一韓国市場では2カ月連続して買い越しとなっている。

 日本の投資家は上昇する国内の株式市場に投資するため、円安にもかかわらず海外の株式や証券を売り越してきた。
 日本国内に流入したこれら資金の総額は7兆4949億円とされ、円安に一定の歯止めをかけてきたとされる。

 ただ、円ドル相場が節目の1ドル=100円を突破し、日銀の無制限量的緩和で日本国債の金利下落が予想されるため、円キャリー取引が本格化する可能性が出てきた。

 韓国銀行(中央銀行)は報告書で円キャリーが拡大する可能性について喚起を促した上で、監視の必要があると強調している。

 韓国の証券会社の研究員は
 「円が1ドル=100円序盤で止まってくれるかが問題。
 円キャリーが本格化すれば、円安が加速する
と話した。

聯合ニュース




朝鮮日報 記事入力 : 2013/05/14 08:02
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/14/2013051400366.html

円キャリートレード復活、韓国に新たな悪材料

 円相場が13日の取引で一時1ドル=102円台まで下落した。
 10日に心理的抵抗線の100円を超えて以降、円安が加速している。
 さらに日本の投資家は先月下旬以降、2週間連続で海外の株式・債券への投資を増やしており、低利の円資金を高金利の海外に投資する「円キャリートレード」が本格化するのではないかとの見方も浮上している。
 円キャリートレードは円安に拍車をかける可能性が高く、韓国にとっては新たな悪材料となる。

■海外投資増やす日本の投資家

 日本の財務省によると、日本の投資家による海外投資は、先月21日以降の2週間で4636億円の買い越しだった。

 4月中旬までは海外の資金が日本に流入していたが、資金が逆流し始めた格好だ。
 日本の投資家はアベノミクス(安倍首相の経済政策)で日本株が上昇したことを受け、4月中旬までは9兆5000億円の海外投資資金を日本に還流させた。
 こうした動きは、円資金の需要を増やし、円安の進行を遅らせるブレーキの役割を果たした。
 円キャリートレードの出現は、円安を抑えたブレーキが外れることを意味する。
 4月下旬以降、資金の流れが逆転したのは、主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で円安政策が容認されたことがきっかけとなった。

 朴海植(パク・ヘシク)金融研究員上級研究委員は
 「円安に対する市場の期待がさらに高まり、円キャリートレードが増えれば、世界的に円安の流れが加速する可能性がある」
と述べた。
 韓国銀行は先月30日「円キャリートレードの最近の推移と拡大可能性点検」と題した報告書で
 「日本は大規模な金融緩和に積極的に乗り出しているが、米国などはこれまでの量的緩和政策(債券買い入れなど)を徐々に縮小する可能性が高い。
 そうなれば、円安だけでなく、日米間の金利差が拡大し、円キャリートレードが拡大する可能性が高い」
と分析した。
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの調査によると、米国の経済専門家の55%が年内に米国の量的緩和政策の縮小が始まるとみている。

 一方、IM投資証券のイ・ジョンウ・リサーチセンター長は
 「円キャリートレードが増える可能性があるが、日本と先進国の金利差が小さいため、2000年代の初めや半ばのような大規模な流れにはならないのではないか」
と予想した。
 韓銀によると、2000年以降、円キャリートレードは3回活発化したが、過去には先進国と日本の金利差が4-5ポイントに達していたのに対し、現在の金利差は0.29ポイントにとどまっている。

■韓国への影響は?

 円キャリートレードの資金が韓国に影響を与えるルートは二つある。
✡.一つは直接韓国の株式・債券市場に資金が流入し、
 あるタイミングで急激に資金が引き揚げられるパターンだ。
✡.もう一つは世界的に円安が加速し、韓国の株式市場などに影響を与えるリスクだ。

 まず、円キャリートレードの資金が韓国に大量に流入する兆しはまだない。
 金融監督院によると、日本の投資家は3月に韓国株を510億ウォン(約47億円)買い越した。
 買い越しは昨年7月以来8カ月ぶりとなる。

 当面比較的大きいリスクは、円キャリートレードで世界的に円安が加速することだ。
 イ・センター長は
 「過去に比べ、円キャリートレードがそれほど活発ではないとしても、衝撃は過去より大きい可能性がある」
と指摘した。
 2000年代初めと半ばの円キャリートレードは、1-2年かけて円が対ドルで10-20円下落したが、
 今回はわずか半年で20円も円安が進んでいるためだ。



レコードチャイナ 配信日時:2013年6月20日 20時8分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73518&type=0

円安で5月の日本の輸出10%増、中韓には圧力―中国紙

 2013年6月19日、日本の財務省が発表したデータによると、今年5月の日本の輸出は前年同月比10%増加し、過去3年間で最大の増加率となった。
 だが安倍政権が打ち出す経済政策「アベノミクス」の大幅な円安を通じて輸出の促進をはかるというやり方は、一連の輸出主導型の国に不満を引き起こしており、中国や韓国などの周辺国の輸出に圧力となっている。
 20日付で新京報が伝えた。

 あるデータによると、5月の日本の輸出額は5兆7700億円で同10%増加し、増加率は前月の3.8%を上回り、2010年以来の最高を記録した。
 輸入もまずまずで、増加率は前月の9.5%をやや上回る同10.1%だった。

 5月の日本の貿易赤字は9939億円で、11カ月連続の赤字となった。
 ある分析によると、アベノミクスの効果が現れ始めたためという。

 だが、円安は日本の輸入コストを大幅に引き上げ、競争関係にある輸出国にマイナス影響を与えているとの評価もある。
 17日に行われた主要8カ国首脳会議(G8サミット)では、ドイツのメルケル首相が急速な円安に不満を述べ、日米の金融緩和政策がグローバル経済に与える影響に関心を示した。
 また、鉄鋼、自動車、造船、電気・電子などの産業では、韓国の輸出企業の競争力が低下を続けている。

 また、一連の中国企業も円安がもたらす圧力をひしひしと感じている。
 日本と韓国を主な取引先とするアパレル企業の責任者・趙さんが19日に述べたところによると、円安が与える最も直接的な影響は日本の顧客が価格に一層敏感になることで、数人の顧客が春節(旧正月、今年は2月10日)の後で発注先を東南アジアに変えたという。
 趙さんの会社は人民元の急速な値上がりの影響を大きく受け、利益が例年の同時期より約1割減少した。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/TF)